基礎学力充実実践研究事業とは?

 京都府教育委員会が、府内公立小・中学校における全ての児童生徒の基礎学力の充実・向上を図るため、「基礎学力充実実践研究校」を指定し、個々の児童生徒の課題に応じた効果的な指導の在り方についての研究実践・開発に取り組み、基礎学力の向上を図るとともに、その成果を府内全域に波及させることを目的として行った事業です。
 本校では、平成14年度から平成16年度までの3年間、実践研究校としての指定を受け、取組を進めてきました。

 平成14年度の取組

学力状況の把握 第1学年では、数学科で基礎学力診断テスト、第3学年では5教科で校内実力テストを実施し、学力状況の把握に努めました。その結果、成績分布が「ふたこぶらくだ型」となっているなど、基礎学力の定着が緊急の課題であることが明らかになりました。
課題に応じた学習教材の開発 「ドリカム講座」
 数学科では「基礎的な計算」「方程式」「関数」「図形」の簡単な内容を、英語科では問題理解に必要な英単語力を身に付けさせるため、基礎的な内容の学習教材を開発して、反復練習など基礎学力の定着を図る取組を進めました。
個人別学習プログラム 数学科・英語科の少人数授業では、生徒個々の課題や学習状況を把握した上で、問題演習や反復練習を行い、学習内容の定着を図るようにしています。
学習会では、個々の生徒の学力状況を把握し、それに応じた教材を準備するとともに、生徒が自ら学習計画を立てられるよう支援しています。
開発した学習教材を用い、ショートステッププログラムで基礎学力の定着を図るとともに、家庭学習でも同じ教材に取り組ませることで、一層の定着を図るようにしています。
基礎学力充実指導員 学習会において、個々の生徒に応じた課題を提示し、自学自習を支援しています。
地域懇談会を利用して、家庭学習への取り組み方、学習環境の整え方などについて保護者とともに取り組んでいます。

 平成15年度の取組

学力状況の把握 次の学力診断テスト等を中心に、授業や定期テストなどで日常的に生徒の学力実態を把握するよう努めました。
対象学年 実 施 日 教 科 実施テスト等の名称・作成者
第1学年 平成15年4月15日 数 学 基礎学力診断テスト・府中研数学部会
平成16年1月30日 国・数・英 数研式標準学力検査
第2学年 平成15年11月5日 国・数・英 京都府中学校学力診断テスト・京都府総合教育センター
第1・2学年 平成15年12月17日 数 学 基礎学力診断テスト・校内数学科
第3学年 4・6・7・9・10・11月 5教科 校内実力テスト
課題に応じた学習教材の開発 個々の生徒のつまずきを反復練習によって段階的に克服させるためのドリル教材など、学習教材の開発を進めました。
対象学年 教 科 学習教材名 領 域 内   容
全学年 数 学 「数学基礎の計算」 数と式 四則計算、文字式、方程式、平方根等
計108シート
全学年 英 語 「英語基本熟語集」 言語材料 語、連語及び慣用表現等
計25シート(513種類)
個人別学習プログラム 個々の生徒の学力実態や課題を明確にするとともに、課題に応じた学習プログラムとその取組過程や成果を記録し、共通理解を図るための個別学習カルテ(「生徒個人票」)の様式を工夫し、その活用に取り組みました。
学力診断テスト結果、教科の授業や生徒指導、教育相談等により学力実態を把握する。
基礎学力診断テスト結果の誤答分析等から内容別の達成度を判別し個別の学習課題を明確にする。
学習課題に対応した学習計画を作成し、課題別・段階別の学習教材を準備する。
生徒が、反復練習等を通じて学習課題を達成できるように援助する。

これらの、学力実態・学習課題・学習プログラムの内容・使用教材・学習の成果等を「生徒個人票」に継続的に記録するよう取組を進めました。個別学習カルテの様式や記載内容については、より実践的・効果的なものを目指して改善に取り組みたいと考えています。
基礎学力充実指導員 平成14・15年度は、市教育委員会との緊密な連携の下に、市教委主催の学習会に、基礎学力充実指導員と本校教職員が参加し、基礎学力充実のための指導を継続しました。
 参加生徒の学習課題に対応した個別学習の指導、援助や学習相談
 家庭学習充実に向けた、保護者への学習相談・教育相談
 指導員の専門教科である英語では、基礎的・基本的内容から丁寧に指導を進めました。
情報の発信 ホームページを通じた取組概要の情報発信に努めました。
 学習会参加生徒には、通信を発行し、学習情報や進路情報を提供しました。
その他 市内各中学校ブロックごとに設立された「学力向上推進委員会」との連携を図り、学力実態の把握、個別学習カルテや学習プログラムなどの取組を小学校と連携して取り組むこととしました。

 平成16年度の取組

学力状況の把握 昨年度までの取組を踏まえ、学力診断テスト等を中心に、授業や定期テストなどで日常的に生徒の学力実態を把握するよう努めました。
 学力診断テスト等の結果
   第1学年 数学科基礎学力診断テスト(府中研数学部会)
   第2学年 府中学校学力診断テスト
   第3学年 校内実力テスト(年6回実施)
 小学校基礎学力診断テスト結果等、小中連携を通じて把握した学力の状況
 定期テストの結果
 教科の授業、生徒指導や教育相談等の状況から

(今後に向けて)1年生入学後、2年生進級後の適当な時期にCDTテストを実施するなど、個々の生徒の学力実態をより客観的に把握し、学習課題やその克服のための具体的な手立てを明確にする必要があります。
課題に応じた学習教材の開発 個々の生徒のつまずきを段階的に克服させるための学習教材の充実、開発を進めました。
教材名 対象 教材の特徴 分量
数学
「基礎の計算」
全学年 ・生徒が自分で計算に取り組める。
・つまずきやすい少数・分数から平方根までの基礎的な計算に習熟する。
・1シート10〜20問で生徒の学習意欲を継続させる。
・【*point】で計算上の留意点を示して自主学習に配慮。
・取組表(チエックシート)、解答集を作成。
97シート
英語
「基本文型・単語の練習」
全学年 ・生徒が英語の基本文型・文法等の理解、習熟に取り組める。
・各学年ごとに基本文型練習と単語練習で構成。
・1シート内に、基本文型の日本語訳、英文法、英作文等を準備し、関連付けながら自主学習ができるように配慮。
77シート

48シート

(今後に向けて)開発した学習教材の効果的な活用と生徒の多様な学習課題に対応できるより多くの内容で段階的に構成された学習教材の開発が必要です。
個人別学習プログラム 個人別学習プログラムを、「個々の生徒の学力実態の把握、学習課題の設定、課題克服のための学習計画、その取組過程と評価を一つのサイクルとした指導の継続」ととらえ、個々の生徒についてそれらを総合的に把握するために3種類のシートからなる「生徒個人票」(個別学習カルテ)を作成し、充実を図りながら活用を進めました。

 詳しい内容は、京都府山城教育局発行(平成17年3月)の
  『個人別学習プログラムを活用した指導事例集−基礎学力充実実践研究校の実践から−』
  を参照してください。

(今後に向けて)個別的な指導と併せて生徒全体に共通する学力の課題を明らかにし、学校全体の学力向上を図る取組を進める必要があります。
基礎学力充実指導員と校内補習 基礎学力充実指導員を活用した校内補習「ステップアップ学習会」を実施しました。
 毎週火・木・金曜日の放課後、数学科・英語科を中心に、学年別に実施しました。
 数学科と英語科を中心に、基礎学力指導員(英語科)と学年担当教諭が指導に当たりました。
 全校生徒・保護者に案内し希望者を募集、また個別に勧め、70名余りの生徒が参加しました。
 週1回の補習のため、部活動と両立でき、1年生を中心に進んで参加する姿が見られました。
基礎学力充実指導員の専門性(英語科)を生かし、教材の開発ときめ細かな指導ができました。

(今後に向けて)個別的な指導や校内補習など基礎学力充実の取組を学校全体でさらに組織的、計画的に推進していく必要があります。
情報の発信 ホームページを通じて取組概要の情報を発信し、学習教材を提供しました。
その他 市内各中学校ブロックごとに設立された「学力向上推進委員会」と連携し、学力実態の把握と交流、国語科、算数・数学科の公開授業等の取組を小学校と連携して取り組みました。

(今後に向けて)義務教育9年間の中で計画的、継続的に学力の充実が図れるよう、小中連携の取組を一層進める必要があります。