3 いじめへの対応
(1)早期対応
ア 校長のリーダーシップの下、教職員間の緊密な情報交換や共通理解を図り、いかなる時も教職員は、一人で抱え込むことなく、いじめ対策委員会を中心に、学校全体で組織的に対応する。
イ 事実関係の把握は、複数の者で正確かつ迅速に行う。
ウ 事実関係の聴き取りは、被害者、被害者の周囲にいる者、加害者、加害者の周囲にいる者等、分けて行う。
エ 聴取や把握の内容、対応の経過等の記録をとり、教育委員会への報告・連絡・相談を円滑に行い、緊密な連携を図る。
オ 保護者、関係機関等と適切な連携を図る。
カ 保護者からの訴えを受けた場合、まずは謙虚に耳を傾ける。
キ いじめ事象が発覚した際には、個人情報の取扱い等に留意しつつ、正確な情報公開、説明責任を果たすよう対応する。
(2)いじめへの対応
本人との信頼関係を構築することが基本
ア 安全確保、訴えへの傾聴、全力で守り通す姿勢で対応し安心感を与える。 (心のケア、親身の対応、秘密厳守)
イ いじめが解決したと見られる場合でも、十分な注意と必要な指導を継続する。
ウ 自尊感情の向上、自己肯定感、自己理解、課題克服、自立への支援、人間関係の改善に向け支援する。
エ 就学すべき学校の指定変更、区域外通学の認可措置については、保護者の希望に応じて配慮する。
(3)被害者の保護者への対応
ア 保護者の不安、怒りを真摯に受け止め、教師と保護者のいじめに対する認識のズレにより、問題を複雑化しないようにする。
イ いじめの事実を正確に伝え、被害者を絶対に守るという学校の姿勢を示し、取組方針を具体的に伝え理解を得る。
ウ 学校への要望や批判を謙虚に受け止め、改善が図れるように努める。
エ 家庭との連絡を密にする。
(4)いじめ加害者への指導・措置
ア 言い逃れを許さず、事実確認を行い、事実をきちんと認識させる。
イ 被害者のつらさ、心の傷に気付かせながらねばり強く指導する。
ウ いじめは人権侵害であり、絶対に許すことのできない行為であることを理解させ、きちんと謝罪させる。
エ 一定期間、特別の指導計画による指導を行う。
オ 場合によっては、出席停止の措置、警察への告発、関係機関との協力等、毅然とした対応をする。
(5)加害者の保護者への対応
ア 自分の子どもが起こした問題についての理解が得られるように、いじめの事実を冷静かつ正確に伝え、学校の取組方針を伝える。
イ いじめは絶対に許されるものではないという毅然とした姿勢で臨む。
ウ 保護者としての責任の果たし方について学校も協力して考え、本人の立ち直りを目指す。
エ 自分の子どもの責任を十分認識させ、被害者に適切な対応をするように促す。
(6)いじめ観衆・傍観者への対応
ア 状況聴取の上、いじめの有無を確認し、他人事ではなく自分の問題として自覚させる。
イ いじめは人権侵害であり、絶対に許すことのできない行為であることの徹底した指導を行うとともに、教師の毅然とした姿勢を示す。
ウ 観衆(いじめを強化する存在)・傍観者(いじめを支持する存在)も加害者と同様との認識に気づかせる。
エ いじめは学級や学年等集団全体の問題として対応していく。
オ 情報提供した生徒が、その後、情報元を特定されそのことを責められたり、次のいじめの対象とならないように、堅く秘密を守る。
(7)マスコミ等への対応の基本姿勢
マスコミ等への対応の基本は、市民に説明責任を果たすことであり、また、市民の疑問や不安に応えることである。学校・教育委員会は、その説明責任の義務を負っているということを自覚し、対応することが基本である。
4 インターネット上のいじめ対応
(1)「インターネット上のいじめ」の特徴
ア 不特定多数の者から特定の子どもに対する誹謗・中傷が絶え間なく集中的に行われ、被害が短期間に深刻なものとなる。
イ インターネットの持つ匿名性から、安易に誹謗・中傷の書き込みが行われるため、簡単に加害者にも被害者にもなってしまう。
ウ 情報の収集や加工が容易にできることから、個人情報や画像がインターネットを通じて流出し、悪用されやすい。
エ 一度流出した情報は、回収することが困難となり、不特定多数のものからアクセスされる危険性がある。
オ 保護者や教師など周囲の大人が、子どもの携帯電話等の利用状況を把握できず、そのためパスワード付きサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、スマートフォンのメール等を利用したいじめについては、より大人の目に触れにくいため、発見は極めて難しく、その実態を把握し効果的な対策を講じることが困難である。
(2)掲示板等への誹謗・中傷等への対応
ア 教育委員会に相談
イ インターネット上のいじめの発見、生徒・保護者からの相談
ウ 書き込み内容の確認
・当該掲示板のURLの確認と記録
・書き込み内容の保存
・スマートフォンの場合は、撮影して内容保存
エ 加害者が特定される場合
・掲示板の管理者に削除依頼
・管理者への連絡方法を確認する。
・利用規約を確認の上、保護者の同意を得て、子どもと一緒に学校内で削除を行う。
・削除依頼は学校等の公的なパソコンやメールアドレスを使用し、個人の所属や氏名の記載はしない。
・掲示板のプロバイダに削除依頼
・管理者に削除依頼をしても削除されない場合や管理者の連絡先が不明な場合はプロバイダに削除依頼する。
オ 加害者が特定されない場合
・教育委員会に相談・報告
・教育委員会に報告し、対応に関して協議を行う。
・外部機関と連携を図り、削除依頼を行う。
*以上の手続きでも削除されない場合は、警察や法務局に相談する。
5 学校評価、学校運営改善
学校評価については、PDCAサイクルにより学校全体や教員一人一人の取組の効果を確認するとともに、いじめ防止に向けて、より一層充実した取組へと改善を図るために行う。この際、いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく、日常の生徒理解、未然防止や発見、いじめが発生した際の迅速かつ適切な情報共有や組織的な対応について評価し、評価結果を踏まえてその改善に取り組むこととする。
また、学校や教員一人一人のいじめ問題への意識向上及び保護者や地域の学校への信頼を高めるために適切な評価が行われるようにする。
第4 重大事態への対処
1 重大事態とは
(1) 「生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑い」(生徒が自殺を企画した場合)
(2) 「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い」(年間30日を目安、一定期間連続して欠席しているような場合などは、迅速に着手)
*「生徒や保護者からいじめられて重大事故に至ったという申立てがあったとき(法第28条第1項)
2 教育委員会又は市立小中学校による調査等
重大事態が発生した場合は、直ちに教育委員会に報告し、調査を実施する主体等を協議する。以下の場合は設置者において調査を実施する。
(1)従前の経緯や事案の特性、いじめられた生徒又は保護者の訴えなどを踏まえ学校主体の調査では、重大事態への対処及び同種の事態の発生の防止に必ずしも十分な結果を得られないと判断する場合
(2)学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合
3 学校を調査主体とした場合
(1)「いじめの防止等のための基本的な方針」(文部科学大臣決定)及び京田辺市におけるいじめ防止等のための基本的な方針、学校の設置者の指導・助言に基づき以下のような対応に当たる。
(2)学校の下に、重大事態の調査組織を設置する。
ア 組織の構成については、専門的知識及び経験を有し、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない第三者の参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保するように努める。
イ 第22条に基づく「いじめ防止等の対策のための組織を」を母体として、当該重大事態の性質に応じて適切な専門家を加えるなどの方法も考える。
(3)調査組織で、事実関係を明確にするための調査を実施する。
ア 「事実関係を明確にする」とは、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめが生んだ背景 事情や生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にすること。
イ 因果関係の特定を急ぐべきでなく、客観的な事実関係を速やかに調査し、たとえ調査主体に不都合なことがあったとしても、事実にしっかりと向き合う姿勢が重要である。
ウ この調査は、民事・刑事上の責任追及やその他の争訟等への対応を直接の目的とするものでないことは言うまでもなく、学校とその設置者が事実に向き合うことで、当該事態への対処や同種の事態の発生防止を図るものである。
(4)事実関係を明確にするための調査の実施
ア いじめられた生徒からの聴き取りが可能な場合
(ア)いじめられた生徒から十分に聴き取るとともに、在籍生徒や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査を行うことなどが考えられる。この際、いじめられた生徒や情報を提供してくれた生徒を守ることを最優先とした調査実施が必要である。
(イ)調査による事実関係の確認とともに、いじめた生徒への指導を行い、いじめ行為を止める。
(ウ)いじめられた生徒に対しては、事情や心情を聴取し、いじめられた生徒の状況にあわせた継続的なケアを行い、落ち着いた学校生活復帰の支援や学習支援等をすることが必要である。
イ いじめられた生徒からの聴き取りが不可能な場合
生徒の入院や死亡など、いじめられた生徒からの聴き取りが不可能な場合は、当該生徒の保護者の要望・意見を十分に聴取し、迅速に当該保護者と今後の調査について協議し、調査に着手する必要がある。調査方法としては、在籍生徒や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査などが考えられる。
(5)学校で行う調査の状況については、必要に応じていじめを受けた生徒及びその保護者に対して適切に情報を提供する。
ア 調査により明らかになった事実関係について、情報を適切に提供(適時・適切な方法で、経過報告があることが望ましい)。
イ 関係者の個人情報に十分配慮。ただし、いたずらに個人情報保護を楯に説明を怠るようなことがあってはならない。
ウ 得られたアンケートは、いじめられた生徒や保護者に提供する場合があることを念頭におき、調査に先立ち、その旨を調査対象の在校生や保護者に説明する等の措置が必要である。
(6)調査結果を学校の設置者に報告する。
いじめを受けた生徒又はその保護者が希望する場合には、いじめを受けた生徒又はその保護者の所見をまとめた文書の提供を受け、調査結果に添える。
(7)調査結果を踏まえ、当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な取組を進める。
4 学校の設置者が調査主体の場合
教育委員会の指示のもと、資料の提出など、調査に協力する。